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鬼滅の刃の給与明細を見せてもらった

鬼滅の刃 | 原画の担当者に給与明細を見せてもらった

一大旋風を巻き起こしている『鬼滅の刃』。劇場版は興収300億円を窺う勢い。だが、現場に言わせれば、恩恵を受けるのはひと握りにすぎないという。実際に働いている原画マンに話を聞いた。

アニメーターは社員ではなく個人事業主扱い

原画マンは、動画マンとして働いていたが、体を壊して退職。一般企業に就職し、現在は副業として週末だけ原画を請け負っている。

「この業界では、いくら作品がヒットしようが、儲けたぶんはアニメ制作会社の社長やプロデューサーのもの。アニメーターは社員ではなく個人事業主扱いなので、還元されることは基本的にありません。

月に何百時間も働いてやっと月収100万円という世界

ならば普段の仕事の単価を適正な水準にすべきですが、作画のクオリティもスピードもハイレベルな超エース級の原画マンでさえ、月に何百時間も働いてやっと月収100万円という世界なんです」

アニメーターの仕事は、「原画マン」と、原画と原画の間の動きを描く「動画マン」に分かれる。動画マンとして下積みを経験し、技量を認められたら原画を任されるパターンが多いそうだ。

「私の新人時代は月の労働時間が過労死ラインの倍の400時間はザラ。動画一枚の単価が170円、月収は最高で17万円程度でした。

あれから十数年たった今でも、単価は240円止まり。私は結局過労で救急車で運ばれ、アニメーターを本業とすることをやめました」

1カットの単価は一律4000円

副業として原画に携わっており、月に17カット程度を担当しているという。

「作業日は、すべてテレビアニメの原画制作に費やしています。発注の単位は、カメラが切り替わるまでを1カットとして、単価は一律4000円。

キャラクターが喋っているだけの動きが少ないカットなら1~2時間で仕上がりますが、走ったり戦ってるような複雑なカットの仕事だと丸2日かかることも。割に合わないですが、やりがいだけで続けていますね」

儲ける者がいる裏で、働けば働くほど貧する者もいる。決して表に出ない業界特有の闇があった。労を惜しまずカネにとらわれないクリエーターに支えられた搾取構造は、いつまで持つのだろうか。

一般的なアニメーターの平均 月収20万円
月収 6万8000円 実働8日、アニメ原画作成(単価4000円)×17カット