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サクラ革命 | 制作費30億円を使いセガが社運を賭けた『サクラ革命』が大コケ

制作費30億円を使いセガが社運を賭けた『サクラ革命』が大コケ

日本のゲーム業界を支えてきたセガサミーホールディングスに危険信号が灯り始めている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、グループ会社が運営するゲームセンターなど施設運営事業の業績が悪化。昨年11月6日には、正社員と契約社員を対象に650人の希望退職を募る事態に陥った。コロナ禍の拡大で、政府は今月7日にも緊急事態宣言を発出する見込みで、いわゆる遊技機業界は引き続き苦境が続くとみられる。

「大失敗」

そんな中、同社が社運をかけている事業が「スマートフォンゲーム」だ。だが、昨年末に満を持してリリースしたiOS/Android向けロールプレイングゲーム(RPG)アプリ『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』(開発・運営ディライトワークス)の売り上げが芳しくない。ゲーム関連株(ゲーム、ソーシャルゲーム)専門の情報分析サイト「Game?i」によると、同タイトルの12月期の売り上げ予測額は7370万円、スマートフォンゲームアプリ売上平均順位は215位だった。有名タイトルは一般的にリリース開始月に売上数億円、平均順位50位内につけなければ失敗という。複数のゲーム業界関係者によると同タイトルの開発費は30億円超えるといわれていて、「大失敗」の噂は絶えない。いったい何が起こったのだろう。

セガの一大看板

同タイトルは、セガ・エンタープライゼス(現・セガサミー)が1996年9月27日、セガサターン用ソフトとして発売したドラマチックアドベンチャーゲーム『サクラ大戦』の正統続編という位置づけだ。サクラ大戦シリーズは大正時代をモチーフにしたスチームパンク的な世界で「主人公(プレイヤー)が特殊部隊『帝国華撃団・花組』を率いて悪しき魔物と戦い帝都東京の平和を守る」というあらすじだ。最新作の「革命」を含めたナンバリングタイトル7作のほか、派生作品は20作品に上り、アニメや舞台などの多メディア展開も図ってきたセガの一大看板だ。

暗雲が立ち込めていた

ところが「革命」はリリースが発表された当初から、すでに暗雲が立ち込めていたという。ゲーム情報サイト編集者は次のように語る。

「サクラ大戦シリーズは『スチームパンク風な大正時代』を描くという一貫したテーマがありました。作中では架空の大正30年まで事細かな事件や戦争の設定があります。そのため、これまでのシリーズでは第1作目のヒロイン真宮寺さくらなど、過去作の登場人物の“その後”も丁寧に描かれ続けてきました。シリーズに通底する壮大な世界観が第一作の発売から20数年、ファンの心をつかみ続けてきた最大の理由です。

ところが『革命』の舞台は2011年、作中の年号では『大正100年』です。これまでの作品のはるか未来の世界が描かれることになったのです。当然、これまでのメーンキャラクターはまったく登場しないか、存在がほのめかされていても『空気』のような扱いになっている。歴史的な連続性が全くなく、単にガワだけサクラ大戦シリーズを名乗っているようにしか見えないありさまです。しかも、スチームパンク作品として重要な役割を担ってきた『霊子甲冑』という蒸気で動く戦闘メカも大きく改変されました。

どうやらヒロインが乗り込む形式のメカだと、キャラの顔が見えなくなってしまうという開発側の理由で、顔だけ出して胴体、手足だけが巨大な機械というスタイルに変わりました。大雑把な表現ですが、ガンダムの顔のパーツだけ、パイロットのキャラクターの顔になっていると考えてもらえればイメージしやすいと思います。こうした意味不明な作風の改変に、古参のファンたちが憤り、初日からインターネット上で炎上したのです」