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AIはイラストレーターの敵?

殺到した批判、開発側の思い

人工知能(AI)が「画風」を学習し、そっくりなタッチでイラストを描いてくれるー。そんなサービスがSNS上で物議を醸した。あくまで自分のイラストを模倣させることを想定したものだったが、多くのイラストレーターが懸念を表明。サービスは公開翌日に停止に追い込まれた。

問題になったのは、従業員約20人のIT企業が開発した「mimic(ミミック)」

キャラクターのイラストをアップロードすると、AIが画風を覚えてさまざまなキャラの顔を描くサービスだ。学習に必要な「見本」は最低15枚で、多いほど再現度が高くなる。サーバーの混み具合にもよるが、AIは最短2時間ほどで画風を学ぶことができるとされていた。  ミミックのガイドラインは、他人の絵を無断で学習させる行為を禁止しており、AIによって生成されたイラストの権利は、学習元となった絵の描き手に帰属するとしている。生成された絵には、ミミックで作られたことを示す「透かし」が入る仕組みもあった。

「さっさとつぶれろ」

創作の参考にしたり、できた画像をファンにプレゼントしたりすることを想定したサービスだったが、SNS上で情報が公開されると、イラストレーターを中心に波紋が広がった。

最大の懸念は、他人の絵を勝手にアップロードし、できた画像を不正利用する人物が現れるのではないかということ。ツイッター上では「絶対に悪用される」「AIを使った盗作がはびこる」といった声が相次ぎ、多数のクリエイターが自分の作品をアップロードしないよう次々に表明する事態に発展した。

こうしたAIが登場すると、誰もイラストの仕事を依頼しなくなると危惧する投稿もあった。「さっさとつぶれろ」「絵師の敵」ー。

運営企業だけでなく、PRのために絵を提供したイラストレーターにも批判が相次ぎ、ミミック公式ツイッターは公開翌日、「不正利用を防ぐ仕組みが不十分だった」と謝罪。サービスをいったん停止し、対策を取った上で再開すると発表した。