漫画家の水島新司さん死去
ドカベン」「あぶさん」「野球狂の詩」などの野球漫画で知られる漫画家の水島新司(みずしま・しんじ)さんが10日、肺炎のため東京都内の病院で死去した。82歳。
各界から追悼コメント
漫画家 川崎のぼる氏
水島さんは、ほとんど同じ時期にデビューした同期みたいな存在だった。単行本から雑誌連載へと活動の軸足を移していった流れも一緒だった。私が作画を担当した「巨人の星」が人間ドラマ中心だったのに対し、水島さんは野球そのものに詳しく、野球に特化した作品を数多く手掛けられた。時々お会いすると「負けないように頑張る」と言っていただいた。まさか先に逝ってしまうとは。また大切な同志を亡くしてしまい寂しい。
漫画家 ちばてつや氏
「昔から同じスポーツを題材にしたマンガを描いてきた同士で同じ世代、実生活でも草野球仲間でライバルの水島新司さんが亡くなってしまった」と書き出し、「彼は私とはかなり違ったスタンスで、ほとんど野球マンガひと筋に描き続けてきたんだ。元々野球マンガはピッチャーとキャッチャーにライバル、というヒーローものが定番だったが、彼の手にかかるとチームの9人一人ひとりの個性、それどころか監督や控え選手などを含むベンチワークまで綿密に描ききり、プロ野球選手を唸らせるほど専門的な目線で野球の『可能性』と『面白さ』を探り続けてきたと思う」
「水島さん、そんなあなたのすぐれた野球マンガの出現で、私は野球を描けなくなりましたよ。以前から約束していて、近々楽しみにしていたキャッチボールの相手が居なくなってショックだし本当に寂しいけど、そういう私も現在は闘病中。まずは長い間本当にお疲れ様でした。先に行って今は安らかにお休み下さい。合掌」
漫画家 森田まさのり氏
「僕が人生で一番模写した漫画はドカベンでした。中学の時、ドカベンのキャラ達をキチンとペン入れして教室に勝手に貼ってたら、担任の先生が褒めてくれて、調子に乗って何十枚も貼り出した事がありました。19年後まさか自分が野球漫画を連載するとは…」と少年時代を回想。「水島新司先生ありがとうございました。ご冥福を」
漫画家 江口寿史氏
「千葉パイレーツは東京メッツへのオマージュでした」と、江口氏の野球漫画「すすめ!!パイレーツ」に登場する野球チーム誕生の秘話を明かし、「ご冥福をお祈りします」と追悼した。
漫画家 森川ジョージ氏
「160キロの豪速球、老いてなお現役、僕らが小学生だった頃夢として描かれていたことが次々と現実になりました」と振り返り、「どれほどの人に影響を与えたのでしょうね。凄い作家、としか形容できません。ご冥福を御祈りします」と悼んだ。
手塚治虫さんの長女 手塚るみ子さん
「心からご冥福をお祈り致します」
三浦知良氏
「山田太郎の明訓高校が唯一負けたのは、いつも通りのことができなかったから。僕は特に、あの敗戦までドカベンを読み続けた。単行本はもちろん、毎週テレビでやっていた30分のアニメも見ていた。僕は『巨人の星』と『ドカベン』の野球漫画で育った」
「殿馬とかね…土佐丸高校の犬飼兄弟が土佐犬を連れてきたりね。通天閣高校の坂田三吉の投げ方も格好よかった」
「先生のご冥福をお祈りいたします」
王貞治氏
「水島さんは南海、ダイエーとホークスが弱い時に支えていただいたホークスの恩人です。私がホークスに来た時もキャンプやグラウンドに来て熱心に応援していただきました。ホークスとは縁の深い人でしたので大変残念です。心からご冥福をお祈りいたします」
松坂大輔氏
「水島先生、ありがとうございました!」
「学生時代から読んでいた漫画ドカベンに自分が初めて出た時の喜びは今でも忘れません…」と自身が漫画に登場した時の心境を回想。「こんなルールがあったんだと勉強させてもらった事もあります」とし「今だからこそ子供たち、指導者の方にも読んでほしい野球漫画だと思います。自分もまた読み返したいと思います。水島先生、ありがとうございました!」
上原浩治氏
「『ドカベン』『あぶさん』などの作者、水島新司さんが亡くなられた…小学生の頃、もろその世代だったよなぁ。野球がさらに好きになるような漫画…あぶさん…親子でプロ野球選手って憧れたなぁ…残念です。ご冥福をお祈りいたします」
藤川球児氏
「漫画の世界観を現実にと 夢を追わせて頂きました。謹んでご冥福をお祈りします」
水島新司とは
18歳で漫画家デビュー。
1970年、剛速球投手の藤村甲子園を主人公にした「男どアホウ甲子園」で人気を得た。 女性投手の水原勇気が変化球を武器にプロ野球で活躍する「野球狂の詩」、山田太郎ら「明訓高校」の個性的な球児たちが甲子園で戦う「ドカベン」、大酒飲みの強打者、景浦安武がパ・リーグでプレーする「あぶさん」などヒット作を連発した。