ニュース

『冒険少年』やらせ問題 | 「漂流物」のほとんどが港から持ち込み

森林伐採、船に積まれる竹、浮き、ノコギリ、釣竿

TBSの看板番組『アイ・アム・冒険少年』の人気企画「脱出島」。そこに“やらせ”行為があったという。

「文春オンライン特集班」は現地で、番組の常連で絶対的王者・あばれる君(35)が漕ぐイカダが小船に牽引される姿や、出演者が一人で作ったかのように放送されたイカダや「脱出」のための小道具を、大人数のスタッフが組み立てる姿など様々な“疑惑”の瞬間を目にすることになった。取材班が現地で取材した過酷な現場の全容を詳報する。

取材班が奄美大島で番組スタッフを確認したのは2021年11月21日のことだ。

10名以上の男性スタッフが、A島から程近い港町の民宿を1棟貸切り、女性スタッフ数名はホテルに宿泊していた。あばれる君のロケは11月25日から予定されており、#1で報じたとおり、スタッフは連日“作業”に追われていた。

朝早くから夜遅くまで、ガレージで毎日何かを作っていた

スタッフらが泊まった民宿の関係者が明かす。

「ロケの際は総勢20人以上が1週間以上、民宿を貸切にして宿泊しています。『脱出島』に挑戦するタレントは1、2泊するくらいですが、スタッフさんたちは何日も前から準備をしていて、疲弊しきっていますね。食事もコンビニ弁当、部屋は相部屋、ベッドは2段ベッドでプライベート空間もない。風呂もシャワーのみです。朝早くから夜遅くまで、ガレージで毎日何かを作っていましたね」

11月23日、民宿1階部分のガレージでは数人のスタッフが、何本もの長い釘をガスバーナーで炙り、トンカチで叩いていた。カーンカーンと、釘を叩く音は2時間以上近隣に響き、火花を散らせた釘は細長いナイフ状に変形していた。

同様のものを1月3日に放映された番組では、あばれる君が、「釘ナイフ」と命名し、使用していた。

番組では「釘ナイフ」はA島にいるあばれる君が島で自ら発案し、製作も一人で行ったように放送されていた。となるとなぜスタッフは事前に複数の「釘ナイフ」のようなものを作れたのだろうか?

「竹を切らせてほしい」と竹林の管理者に連絡が…

11月24日早朝にはこんな光景も見られた。複数のスタッフが軽トラックに乗り込み、港町から数キロ離れた山へとはいっていく。山付近の竹林からは竹を伐採する音が2時間に渡って鳴り響き続け、戻ってきた軽トラックには30~40本程の竹が積まれていた。その中の大多数の竹を、スタッフが馴れた手つきで船に積み込んだ。また、一部の竹は民宿のガレージに運ばれ、スタッフが竹を紐で組み合わせ“何か”を作っていた。

「去年の夏くらいに番組とも縁の深い、船の仕事をしている知り合いから『竹を探しているんだけど、何本か切らしてくれないか』と電話がかかってきたので『何本でも切っていいよ』と伝えました。まだTBSのスタッフから直接説明はありませんが、竹が番組で使われていることはなんとなく予想していました。うちの竹はとにかく太いので。番組だと自生した島の竹か流れ着いたものだけでイカダを作っているはずなのにね(笑)」

「漂流物」のほとんどが港から持ち込まれていた

1月3日放送の番組では、ハリセンボンの2人が古井戸から水を汲み上げるために竹で作ったショベル型の装置を製作している時などに数秒間、以下の一文の注意書きがテロップで表示されていた。

《環境・安全に配慮し一部資材を持ち込んでいます》《特別な許可のもと安全に配慮して撮影しています》

だが、取材班が目撃した“一部資材”は竹だけではない。

24日、25日早朝にA島に向かう船に積み込まれた資材は番組で毎度登場する「浮き」をはじめ、大量の「薪」や「木炭」、「パイプ」、「一斗缶」、「鉈」や「斧」、複数の「釣竿」。大量の「飲み物」や「食料」だった。

番組のコンセプトは「ワンバッグ以外は島にあるもののみで島から脱出する」ことのはずなのだが…“一部”どころか資材のほとんどが港から持ち込まれたものの可能性があるということになる。