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中国がアニメに引き続きゲームを規制開始 | 『原神』『アズールレーン』『信長の野望』『真・女神転生』など名指し

中国が『原神』『アズールレーン』『信長の野望』『真・女神転生』など名指し規制

中国・北京で開催された「北京国际游戏创新大会(北京国際ゲームイノベーション会議)」の内部資料がインターネット上で流通し、議論を呼んでいる。同大会は、政府主導で年に一度開催されるカンファレンスであり、テンセントをはじめ大手ゲーム会社が参加した。ここでのプレゼンテーションに用いられた資料が、インターネット上に流出したと見られている。

話題となっている文書に含まれるのが、「ゲーム出版コンテンツレビューの要点と分析」とされる資料だ。中国総局の監査専門家、Chen Zhenyu氏による文書となっている。文書のなかでは、実際にコンテンツ規制の対象となる内容が列挙。いくつかの項目に章立てられて、禁止の対象が挙げられた。非常に多岐にわたる規制対象が挙げられているが、興味深いのは、いくつかの中国内外のコンテンツが名指しで挙げられていることである。文書に含まれる広範な内容のなかでも、特定のタイトルを挙げて規制対象が示されている部分を中心にピックアップして見てみよう。

続けて価値観的に不適切なコンテンツとして挙げられるのが、「反社会的・反人間的」とされるコンテンツ。疫病による人類滅亡を目指す『Plague Inc.』や戦争シミュレーション『This War of Mine』も槍玉に挙げられている。また「耽美、耽改」と呼ばれる、いわゆるBLジャンルも取り締まりの対象とされる。さらに注目したいポイントは、「女性的に見える男性」が不適切なコンテンツとして挙げられていることだ。判断基準としては「主観的に見て性別の判断に混乱をきたすこと(説明を見ないと男性だと分からないこと)」が挙げられている。ここでは『原神』における男性の多くが女性的に描かれているとされ、ウェンティが代表例として挙げられた。

歴史的人物を改変することが規制対象になる

第三の対象が、「歴史観」にまつわる規制対象。事実を歪曲したり、センセーショナルにしたり、歴史的人物を改変することが規制対象になるという。ここでは第二次世界大戦における“悪の勢力”を美化することのほか、日本・ドイツ軍の武器・装備を使用することや軍服を使った表現、歴史上の人物への言及も挙げられた。具体例として『アズールレーン』『ブラック・サージナイト』が挙げられている。このほか『信長の野望』は軍国主義的であるとして、「他国の歴史の過度な美化」に相当するそうだ。ほか、多数の歴史的な題材についての規制が挙げられた。

今回明らかになった当局における規制基準の厳粛さは、中国ユーザーにとっても驚きをもって受け止められたようだ。また中国国内SNSでは、本文書にまつわる投稿がのきなみ削除されたとも伝えられている。まだ資料段階の話であるが、中国国内のコンテンツ取り締まりはますます厳しくなっていきそうだ。『原神』をはじめ人気IPも苦境を迫られる可能性があり、今後の先行きは不透明となっている。

テンセント、ネットイース、中国のゲーム禁止令で時価総額が6兆円を損失

中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)とネットイース(網易)の時価総額が、合計で600億ドル(約6兆6000億円)余り減少した。市場では規制当局がゲーム業界の締め付けを大幅に強化する準備を進めているとの懸念が強まっている。

中国の規制当局は8日、ゲーム業界幹部を会合に呼び出し、「利益偏重」姿勢をやめ、未成年が過度にゲームに熱中しないよう対策を命じた。国営新華社通信が報じた。また香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の9日報道によれば、当局は新たなオンラインゲームの承認を一時減速する見通し。SCMPは先に、承認を一時停止すると報じていたが、後に記事を更新した。

テンセントやNetEaseなど中国のゲーム会社が連名で「Steamなどの国外ゲーム販売プラットフォームをボイコットする」と表明

中国では近年、未成年へのゲームプレイ規制が強化されており、実名を入力しないとゲームができないシステムや顔認証によるゲームプレイ時間の管理が導入されています。さらに2021年8月には、「子どもの1週間のオンラインゲームのプレイ時間を最大3時間に制限する規則」が制定され、18歳未満の若者は週末あるいは法定休日の20時から21時以外の時間帯でオンラインゲームをプレイすることが禁じられました。

GPCと213のゲーム会社はWeChatブログで自主規制協定を発表し、「不健康なコンテンツをフィルタリングして、海外のゲーム販売プラットフォームをボイコットしてゲーム中毒と戦う」と宣言しました。

この自主規制協定の対象になるのは、2021年8月で規制されたオンラインゲームだけではなく、1人で遊ぶシングルプレイヤーゲームや家庭用ゲームも含まれるとのこと。さらに「男性を女性化すること」「ボーイズラブ」「お金を崇拝すること」「政治的に有害なコンテンツ」「共産党史観と対立する歴史的虚無主義」もボイコットの対象と定めました。加えて、成人が未成年者にアカウントを貸す行為も禁止するとしています。

これまで中国国内ではゲームの販売が規制当局から承認されるまでに多くの労力と時間が費やされることから、「SteamやEpic Games Storeなどの中国国外のゲーム販売プラットフォームでタイトルを配信して中国のゲーマーに買わせる」という法的にグレーな方法がとられていましたが、これに対してGPCと213のゲーム会社は自主規制協定の中で、「規制手続きを回避し、海外のゲーム販売プラットフォームを使用して国内ユーザーにサービスを提供することを断固としてボイコットする」と述べました。